「統計上の不突合」を無視しても、アメリカの一般企業には18兆67.49億ドル(約2タ2つのアメリカ1680兆円)もの純負債があることになる。
日本政府の負債は、共にアメリカ政府(連邦政府+州・地方政府)とほぼ同規模である。
また、日本政府の資産はアメリカ政府のそれを絶対額で上回っている。
少なくともストックを見る限り、日本はアメリカよりも政府の役割が対GDP比で大きいことは確実である。
2009年9月時点のアメリカ政府(連邦政府+州・地方政府)の負債は、11兆9481億ドル(約1075兆円)となっている。
現時点では、すでにアメリカの方が、政府の負債額は絶対額でみれば日本よりも大きくなっているわけだ。
両国のバランスシートを眺めるだけで、国家にせよ企業にせよ、あるいは我々個人にせよ、「誰かの負債は、誰かの金融資産」であることが理解できるだろう。
誰かが負債を増やしてくれない限り、誰かが資産を増やすことは「絶対に」できないのだ。
国家全体で見た場合は、外国とのやり取り(対外資産や対外負債)の金額分があるため、「国内」の誰も負債を増やさない状況であっても、資産のみを増やすことは論理的には可能である。
とはいえ、外国には外国の都合があるわけで、ある国だけが一方的に対外純資産を増やしていくことは、なかなか困難だ。
07年までのアメリカは、それこそ「一方的に対外純負債を増やしてきた」わけであるが、まさにそのこと自体が、今回の世界的な経済危機の引き金になってしまった。
現在の日本は、確かに世界最大の対外純資産国である。
すなわち「国家全体」で見れば、日本は世界最大の金持ち国家なのである(何しろ、純資産が世界最大だ)。
しかし、日本が国家として純資産を増やすことができた裏には、必ず「純負債を増やす国」が存在している。
というよりも、どこかの国が純負債を増やしてくれないことには、日本だけが純資産を一方的に増やすことは不可能なのだ。
ひとつの経済主体の金融資産は、必ず他の金融主体の負債で、両者は必ず一致するのである。
同じことは、国内の経済主体間にもいえる。
政府なり民間企業が負債を増やして312つのアメリカくれないことには、我々一般の日本国民(二家計)が資産を増やすことはできない。
先に、日本の主な純負債の引き受け手は政府で、アメリカの場合は民間企業であると書いた。
これはすなわち、日本では政府が国債を発行し、純負債を増やしてくれたからこそ、一般の日本国民が純資産を増やせたということを意味している。
日本の財務省は、「『国の借金(注‥正しくは「政府の負債」)』が大変だ!財政健全化が必要だ!」などと叫ぶのが大好きだが、現状で日本政府が負債を増やすのをやめてしまうと、我々(家計)の資産も増えなくなってしまいかねない。
すなわち、財務省は我々一般の日本国民に「金持ちになるな!」といいたいのだろうか。
それはさておき、日本のストック(国家のバランスシート)上で政府の役割が大きくなっているのは、バブル崩壊以降の日本が「恐慌経済」下にあったためである。
恐慌経済とは、民間(主に一般企業や家計)が「負債を継続的に減らしていく」経済環境を意味する。
バブル崩壊後の日本は、いわゆるバランスシート不況に陥り、特に一般企業が自社のバランスシートに計上された負債削減に邁進した。
企業の負債減少は、フロー(GDP)上で民間投資の縮小を招き、日本政府は景気を下支えするために国債増発と財政出動の拡大を余儀なくされたのである。
結果、日本政府の純負債は500兆円超(二980・2兆円-462・6兆円)にまで拡大した。
バブル崩壊時点における日本政府の純負債残高は、ほぼゼロだったため、まるまる500兆円も純負債が増えたことになる。
それに対し、アメリカは00年のITバブル崩壊を、FRBの利下げをトリガーとする不動産バブルへと、いわゆる「バブルのバトンタッチ」をすることで切り抜けた。
結果、アメリカ経済は08年まで「恐慌経済突入」の時期を先送りすることに成功したのである(先送りした分、傷が深まったように思えるが)。
08年時点におけるアメリカの「国家のバランスシート」上で、一般企業の純負債が極端に大きくなっているのは、07年までのバブル経済の影響が大きい。
バブル経済とは、要するに「民間が負債を極端なペースで拡大する」現象なのである、とはいえ、アメリカの一般企業の純負債が拡大していることは、同国において企332つのアメリカ業が銀行融資を受け、きちんと投資をしていたことを意味する。
そもそも資本主義経済とは、民間企業が負債を増やし、成長や収益の最大化を目指し、投資を拡大していかないことには回らないのである。
政府が最終的な純負債の引き受け手にならざるを得なかった日本に比べ、民間が純負債を増やしていたアメリカの方が、間違いなく「資本主義国として健全」なのである。
だが、もちろん何事にも限度というものがある。
民間が極端なペースで負債を増やすバブル経済は、100%の確率で崩壊するし、その後の国民経済のハードランディングは避けられない。
家計、企業、政府のバランスシートの変遷それでは、次にアメリカの各経済主体が、具体的にどのようなペースで負債を増やしていたかについて見てみよう。
図1-3を見ると、1990年代中盤以降のアメリカ金融機関の負債増加図1-3アメリカの家計・企業・金融機関・政府の負債解任移(単位:10億ドル)年
本グラフでは、買掛金などの「比較的重要ではない」負債は除かれているスに、誰もが「ギョッ!」としてしまうのではないだろうか(少なくとも筆者はギョっとした)。
2007年のサブプライム危機以降、アメリカの金融機関の負債増加は止まっているが、これは単に「金融機関の負債が、政府の負債に置き換わった」ためにすぎない。
アメリカ連邦政府が資金注入を行い、あるいは各金融機関の各種債権を買い取り、民間から政府に負債を移しただけなのである(金融機関の債権の裏には、必ず対応する負債がある)。
アメリカの金融機関は、1980年比で負債を56倍にも拡大した。
その溢れんばかりのマネーを、国内の不動産ビジネスや海外の新332つのアメリカ輿経済諸国の株式、あるいはコモディティ(商品)などへ投資することで、大いに利益を稼いできたわけだ。
先述したように、「誰かの負債は、誰かの金融資産」である。
アメリカの金融機関が極端に負債を増やしている以上、その反対側には必ず「貸した人」が存在している。
日本の金融機関の場合は、負債の貸し手、すなわち債権者は「日本国民」である。
銀行を例に採ると、我々一般の日本国民や日本企業の「預金」がバランスシートの負債側に積み上がっている。
97年の橋本政権以降は、負債である「預金」の貸出先が減少した結果、銀行が日本国債購入に邁進し、結果的に日本の長期金利は延々と世界最低を続けている。
国内からの借り入れ(預金など)さえ持て余している以上、日本の金融機関は海外のお金など、全く必要としていない。
だから日本の「対外負債」は政府、民間を含めて極端に小さくなっている。
逆に、対外資産(海外への貸付金や投資残高)は、これまた極端に大きい。
対外資産が大きく、対外負債が小さい結果、日本はすでに20年近くも世界最大の対外純資産国の地位を守り続けているわけだ。
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